レーの初日、夕暮れ時。

ラダックに着いた初日、レー王宮を望むことができるカフェで楽しく夕飯を済ませ、夕暮れの景色の中を歩いて宿に戻りました。

実はこの初日の夜、私はほぼ一睡もできませんでした。「眠ると呼吸が浅くなるから高山病にはかえってよくないらしい」と聞いていたのもあって不安が大きかったのだとも思うのですが。それにしても。

普段から寝付きは良くないのでこの日もパートナーが疲れであっという間に寝てからも私はしばらくは眠れず、深い呼吸を意識しながらゴロゴロしていました。そしてやっと眠りに落ちた途端、ゾッとするような映像が浮かんできて、びっくりして目が覚めたのです。その後も、それの繰り返し。今までの普段の生活や旅先でも、不安がそのまま夢になったり、怖い夢や寂しい夢は確かによく見るのですが、それにしても今回はこれまでと全く違うのです。ストーリー性がなく、ただただゾッとするような白黒の映像(ホラー的要素を含むような・・)が現れるのです。覚えている限り、こんなことは生まれて初めて。たまに、夢は全て白黒だという人がいるとは聞きますが、私は必ずカラーで、そしてどんな夢でも話があって、映像だけということはないのです。

あまりにもゾッとする映像が襲ってくるので、疲れているのに眠るのが怖くなり悶々としていると、だんだん風呂場でずっとぽたぽた垂れている水の音も気に障ってくるし、足元の方だけつけていた電気も明るすぎるからと消すと真っ暗が怖くなるし、ベッドの横にあるタンスに付いている鏡まで怖くなるし・・。私は霊感と言うようなものもなく、普段そういう類の怖い体験もないので信じるも信じないもない感じなのですが、この夜は、この土地の力が強すぎるんじゃないかとか、この宿は曰く付きなのではないかとか、そんなふうにしか思えないほど特別な思いをしました。

夜が白白と開けてきたときはなんとほっとしたことか。

さて2日目は旅行会社に頼んだドライバーさんの車で、レー郊外のゴンパ(寺院)巡りの予定。車移動とはいえ、それこそ慣れない高地でほとんど寝ていない状態で大丈夫だろうかと不安。けれどこれまでのところ頭痛や体調不良はまだ一切ないので、きっと疲れや眠気よりも、ラダックに、チベット文化圏にいる嬉しさの方が勝るはず。日本での日常よりも、明らかに心身ともに軽いのです。

 

写真はどれも、初日の日没後、宿に戻りながら写した風景。 Olympus Pen F, Kodak Portra 160